若い人が本を読まなくなったといわれて久しい。

特に最近は従来から活字の大敵だったマンガやアニメに加えて、テレビゲーム

やインターネットが若年層を中心に浸透したために、この傾向に拍車がかかり、

出版業界は本が売れなくなったと戦々恐々としている。

しかし本が売れなくなった本当の理由は、マンガ・アニメやテレビゲーム、

インターネットのせいというよりも、本自体が面白くなくなったからである。

現在では星の数ほどある出版社から年間に数万種類!にも及ぶ本が発行

されているが、その99.9%以上がつまらない本である。つまらない本が安易

に出版されるから本屋さんはつまらない本の洪水になり、そこから素晴らしい

本を探し出すのはプールに落ちた針を見つけるほどの至難の業となる。

昔は人々にとって本屋さんに行くことは最大の楽しみのひとつだったが、

今ではただ疲れるだけである。

繰り返すが、本が売れなくなったのは、内容の薄い本が乱発されるように

なったのに対して、アニメやテレビゲームの方が少なくとも本より「真面目に」

「面白いものを作る努力」を惜しまなかったというだけのことである。

自らの敗因を他者のせいにするのは卑怯というものである。

鉄道趣味関係の書籍についても全く同じことがいえる。40年前の1960年

代初頭まで鉄道趣味関係の本は非常に数が少なかったかわりに、内容の

レベルが非常に高かった。それが1970年代のSLブーム到来と共に、時流

にのった程度の低い本が乱発されるようになり、その状態が形を変えて現在

にまで至っているわけである。私の手元にはその当時に乱発された鉄道

趣味関係の本が何冊か残っているが、志の低い本は、今手に取ってみても

糞の役にも立たないし、面白くもない。

しかし逆に高い志をもって書かれた本は、資料的な価値が高いだけでなく、

読み物としてみてもなんら色褪せるところがない。これらの名書が何十年と

いう歳月を経てなお名書である続けられる理由はなにか?

理由は単純で、長く残る本は、当時の趣味人や職業人が非常に真面目に、

多くの時間と労力をかけ、大袈裟にいえば人生をかけて執筆・編集・出版

していたからである。

前置きが長くなったが、このコーナーでは戦前・戦後を通じて出版された

鉄道関係の名書のいくつかをご紹介していきたい。

鉄道図書の出版社は「読み捨て」ではなく、10年後・20年後に読んでも

通用するような内容の濃い鉄道本を出すべきである。長い目で見ればその

方が絶対儲かる。