1961.9. 藤並駅  Photo by: T. Satomi

「紀伊国」は和歌山県の旧国名だが、語源は「木の国」であり豊かな森に

恵まれた地であることを表している。そして紀伊国はまた温泉に恵まれた

地でもあった。

関東人にとって箱根・熱海・草津などが身近な温泉地であるのと同じ意味

で、関西人にとっての身近な温泉地としては南紀白浜・城崎・下呂などが

挙げられるが、中でも白浜は最も訪れやすい温泉地として古くから栄えて

いた。

1956年(昭和31年)に国鉄は初の優等列車用ディーゼルカーであるキハ55系

を完成させると、関東地区では準急「日光」としてデビューさせるとともに、

関西地区では天王寺−白浜口間の準急「きのくに」、新宮まで行く「南紀」

名古屋まで紀勢線を直通する急行「紀州」として活躍を開始した。

これによって蒸気機関車時代に3時間半かかっていた白浜までの道のりは

2時間40分に短縮され、南紀方面の観光開発という点でキハ55系気動車

が果たした役割は絶大だったのである。

このコーナーでは天王寺9:30発の上り準急「第1きのくに」に実際に乗車

して頂き、白浜口まで時空を超えた旅をしながら途中、鳳、海南、御坊、

紀伊田辺等沿線の車窓や鉄道風景をお楽しみ頂きたい。

(※一部、別時期に撮影された写真が含まれます)